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チューブラータイヤの取り付け

必要な工具

自転車用チューブラータイヤの装着について解説します。

チューブラータイヤとは、インナーチューブをタイヤケーシングで巻き込まれ、糸で縫製した筒状の形をしたタイヤを意味します。

縫い目には、ベーステープと呼ばれる布が張られており、このベーステープ部とチューブラータイヤに適合する専用リムとを接着して固定します。

このようなチューブラーシステムは、タイヤとチューブが別体になっている、クリンチャーシステムとの互換性がありませんので、注意が必要です。

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原則的に、チューブラータイヤとリムとの接着強度は、チューブラータイヤとリムを正しく据え置かれているかが重要です。固定力を求めようという余り、過度な量の接着剤を塗布することは、熱などの影響により、逆に固定力を低下させる恐れがありますので注意が必要です。

  • ・ チューブラータイヤとチューブラータイヤ専用リムの接着面の形状とのマッチングは、適切な固定力を得るための大変重要な要素だと言えます。
    チューブラータイヤの接着面に対するストレスは、タイヤの中央部より外側のエッジの方が大きく、タイヤの直径が使用するリムに対して小さすぎる場合、チューブラータイヤが極端に引き延ばされて装着されることにより、チューブラータイヤとリムとの間に隙間が発生しやすくなります。
  • ・ リムセメントは、熱による影響で接着力を低下させる傾向にあります。
    下り坂などでのハードブレーキングなどにより、リムの表面温度が上昇してくることで、リムセメントの接着力が著しく低下する恐れがあります。
  • ・ ウェットコンディションにおいて、接着力が著しく低下する恐れがあります。
    湿度が高い場合や雨天時の作業はできるだけ避けてください。
  • ・ チューブラータイヤは、高圧なエアを充填することによって、タイヤ自体に張力を発生させてリムと嵌め合っています。
    またそれを補助するリムセメントによってタイヤとリムが固定されています。
    そのため空気が抜けた状態では、それらの接着力が著しく低下する恐れがありますので注意が必要です。
  • ・ チューブラーシステムは使用中、タイヤとホイールに対して様々な種類のストレスが課せられます。
    特にチューブラーシステムの場合、横方向からのストレスには十分に注意が必要です。
    たとえばコーナーリング時、バイクを倒した状態での路面からの衝撃は、チューブラータイヤをリムから引き剥がす方向に力が発生します。万一、接着の不十分なチューブラーシステムが、そのような衝撃を受けたとするならば、チューブラータイヤはリムから簡単に剝がれてしまいます。
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現在市場で販売されているリムセメントは、その多くがタイヤメーカーから発売されています。それらのメーカーから販売されているリムセメントは、自社ブランドのタイヤの使用における接着性能を高めた専用品であるとも言えます。

ご自身が使用するタイヤとリムとのマッチングに関しては、各メーカーが推奨するリムセメントをご使用になることをお勧めします。

チューブラーシステムをご使用の際、正しい装着方法を実践しなければ、重大な事故につながる恐れがあります。丁寧で確実な作業を行うにあたっての十分な準備と時間をしっかりと確保することが大変重要であると言えるでしょう。

理想的にチューブラータイヤとリムを接着するには、ベースとなるリムセメントを完全に乾かす時間を考慮すると、3日程度は必要になります。

もちろん、短時間における作業は可能ですが、実際にはチューブラータイヤをリムに装着してから時間をかけてなじませることで、接着強度を飛躍的に向上させることが可能です。

装着手順 - 新品のリムの場合 -

使用するリムの接着面がきれいな状態である必要があります。汚れていないウエスを使用して、脱脂剤やパーツクリーナーなどで、リムに付着した油分を完全に除去します。油分が残ったまま作業を行うと、接着力が著しく低下する恐れがあります。
また、脱脂剤やパーツクリーナーなどは、皮膚への攻撃性が高いものもありますので、作業時には防護グローブを使用することをお勧めします。

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カーボン製リムをご使用になる場合、特に表面の処理を丁寧に行ってください。
多くのカーボン製リムを製造するメーカーは、成形後に金型から製品を取り外しやすくするために、特殊な油を使用しています。
この油は、チューブラータイヤを装着する上で、不要なものであり、多くのカーボンリムメーカーは、これらの素材をアセトンを使用して除去することを推奨しています。アセトンの使用に関しては、多くのメーカーが製品に対する攻撃性が低く、不要な油分などを除去する際には最適なものとしています。ただし、全ての製品に対して問題がないわけではありませんので、ご使用になるリムメーカーに確認を行ってください。

また、チューブラータイヤの接着面を中目程度の耐水ペーパーなどで荒らす事も、接着力を古城させるために大変効果的と言えます。ただし、カーボン繊維まで必要以上に削らないように注意して作業してください。

チューブラータイヤはリムに対してきつく嵌め合うように設計されています。使用するリム対して、多少のなじみを出すために、リムセメントを塗布していないリムに一時的に装着し、エアを充填した状態で一晩置いておくと、使用するリム対してチューブラータイヤになじみが発生し、装着に最適な状態となります。
あまり適しているとは言えませんが、短期間でチューブラータイヤを装着する必要がある場合、タイヤを足で押さえ、反対側を手で引っ張るなどして、なじみを出す方法もありますが、あまりお勧めはできません。

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次にチューブラータイヤの裏側に張られているベーステープを確認します。一部のチューブラータイヤのベーステープには、薄くラテックスなどのゴムでコーティングされていることがあります。この場合、全てのコーティングを剥がしてから使用してください。

必要最低限の少ない量のリムセメントでチューブラータイヤとリムを接着するのが理想的です。一般的には、チューブタイプのリムセメントの場合、適切なベースコートと接着に必要な最低限の量を考慮して、新品のタイヤとリム前後セットで1本を使い切ることになります。

まずベーステープにベースとなるリムセメントを塗布します。エアをある程度充填すると、タイヤ自体が反り返り、ベーステープが表に出てきますので、作業時に大変便利です。
タイヤを中央部でつまむと、図のようにタイヤが「8の字」状で固定できます。

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ある程度リムセメントをベーステープに塗布できたら、ハケや歯ブラシなどで薄く均一に広げていきます。
バルブ付近も注意して全てのベーステープにリムセメントが薄く均一に塗布できるまで作業します。

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万一、リムセメントがタイヤのサイドウォールに付着した場合は、脱脂剤などで除去しようとせず、そのまま乾燥させます。

全てのベーステープにリムセメントが塗布できたら、タイヤを地面から離して、ベーステープ面に異物が付着しないよう、注意してリムセメントを完全に乾燥させます。
最低でも1時間以上は乾燥させると、接着力が向上し、楽に装着作業ができます。

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TS-2 振取台などを使用してホイールを固定すると、作業時に大変便利です。汚れても良いウエスを振取台に敷いておくと、リムセメントが垂れてしまった場合でも、振取台を汚さずに済みます。

また、リムのブレーキ面に対して、横振れ確認用のセンサーをわずかに触れさせておくと、不用意にホイールが回転しないため、リムセメントを塗布する際に作業効率が良くなります。

全くコーティングをしていないリムを使用する場合は、最初にリムセメントを薄く均一に塗布して下地を作ります。ハケなどを使用して、できるだけ薄く均一にリムセメントを塗布します。

理想的にはこの状態で一晩寝かせて、完全にリムセメントを乾燥させてください。再度この工程を繰り返し、3回目で最終的にチューブラータイヤを接着するリムセメントを塗布します。

リムセメントが、リムの縁一杯までしっかりと塗布されていることは大変重要です。
総合的な接着力はリムの縁の部分の強度に依存しますので、ムラが無いよう丁寧にリムセメントを塗布してください。

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十分に下地を作り、最後のリムセメントをリム塗布したら、図のように半乾きの状態になるまで乾かします。
時間的には環境にも寄りますが、数十秒から数分というところだと思います。

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下地処理が済んだチューブラータイヤに、作業しやすいようタイヤが膨らむ程度のエアを充填します。ここで十分なエアが入っていないと、タイヤを装着する時にサイドウォールをリムセメントで汚してしまうことになりやすいので、注意が必要です。

きれいな床にバルブ穴を上にした状態のホイールを置きます。タイヤのバルブを真っすぐにリムのバルブ穴に挿入し、そこから左右にタイヤを引っ張り広げるようにして、リムに真っすぐ乗せていきます。最後にバルブの反対側に親指を使ってタイヤを載せます。

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しっかりと体重をかけてタイヤを引っ張りながら作業しなければ、最終的にバルブの反対側にタイヤを乗せる時に、十分に作業できない恐れがあります。

チューブラータイヤをリムに装着できたら、すぐにタイヤのセンターを調整します。
センターの確認は、リムの縁から見えるベーステープが左右で均一になっているか、もしくはタイヤのトレッドがリムに対して真っすぐ装着されているかを確認します。万一ずれが発生している場合は、すぐにタイヤを捻じりながら修正します。

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タイヤのセンターが確認できたら、タイヤとリムがしっかりと接着されているかを確認します。

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画像のように、全周に渡って、しっかりとリムセメントとタイヤが接着されている必要があります。

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この画像のように、タイヤとリムを接着するリムセメントの量が少なかったり、下地が完全に出来上がっていない場合、再度タイヤを取り外して、適切な手順をやり直す必要があります。

全ての確認作業が終了したら、タイヤに十分なエアを充填します。これによりタイヤとリムがより強く接着できます。
万一、リムのブレーキ面に付着した余分なリムセメントが付着した場合、丁寧に除去してください。

最後にタイヤとリムをマッチングさせるために、24時間かけてリムセメントを完全に乾燥させます。

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装着手順 - 使用済みのリムの場合 -

装着の手順は、使用済みリムの状態によって変わってきます。

すでにリムに十分な下地処理が施されている場合、一般的にそのまま使用することができます。ただし、リムからタイヤを取り外際、場合によってはタイヤにダメージを与えてしまう恐れがありますので、使用している古いタイヤは交換することが望ましいでしょう。

まずタイヤから完全にエアを排出します。

バルブの反対側付近を目安に、マイナスドライバーや鉄製のタイヤレバーなどを使用してタイヤをリムからはがします。

一か所がはがれたら、それらの工具をずらしながら、徐々にバルブ方向にタイヤを剥がしていきます。

ある程度タイヤがはがれてきたら、手でしっかりと引っ張り、タイヤをリムから完全にはがします。

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剥がしたタイヤを確認すると、以前の接着状況がよくわかります。

この画像を見ると、ベーステープとリムとの接着面が非常に少ない事が分ります。

ベーステープの端の部分は、ほとんどリムと接着されていなかった事になりますので、合によって、走行中にこのタイヤはリムから剥がれていたかも知れません。

下地が非常に古い状態である場合、必ずその下地を剥がす必要があります。
アルミニウムやステンレスのリム場合、ペンキ剥離剤などの有機溶剤を使用して、カッターナイフやスクレーパーなどで古い下地を削り取ってください。

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ベーステープがタイヤケーシングから剥がれてれている場合、新品のように補修することは大変困難です。

しかしながら、ベーステープが剥がれていると接着力が著しく低下する恐れがありますので、薄くリムセメントを塗り、下地処理がされていないリムに装着し、エアを充填して乾燥させることで、ある程度のレベルまでベーステープを補修する事ができます。

チューブラータイヤがリムに装着された状態で、完全に接着状態を確認することは不可能ですが、サイドウォールを軽く押し、リムから剥がそうとした時に、パキパキと音が鳴ったり、リムセメントにひびが入るような場合、確実に接着力が低下しているため、タイヤとリムを取り外し、再接着を行ってください。

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