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危険なトルク管理

最近、安全性をより重視するようになり、また材質も形状も多種多様になってきたため、ネジの締め付けトルクの管理が重視されています。
当社でもトルクレンチについての問い合わせも増えましたし、販売数も増加しており供給側としてはうれしいのですが、問い合わせの内容を聞いていると理解されているトルク管理はこう思われているように感じることが多いです。

「トルク管理 = トルクレンチの使用」

間違っている訳ではありません。しかしあまりにも短絡的過ぎであり、根本的に勘違いをしている人も少なくない様子です。
その勘違いとは、次の3つ。

① トルクレンチと通常のレンチは同じ用途に使用する工具である

② トルクレンチを使用すればいままでの作業工程を無視してもいい

③ トルクレンチを使用すれば誰でも快適で安全な自転車が組み立てられる

どれも非常に危険な勘違いです。

① トルクレンチと通常のレンチは同じ用途に使用する工具である
トルクレンチで通常の締め付け作業も行うことができますが、トルクレンチはあくまでも測定器具です。
トルクを測定するときに使用するものです。普段から通常の作業で使用していれば磨耗などで測定精度は低下し、必要なときにトルクレンチとして役に立ちません。
その上、投げたり、踏んづけたり、蹴ったりするような状況で使われている工具と同じように使用されれば・・・。
デリケートで高価なものです。取り扱いにも気をつけましょう。
② トルクレンチを使用すればいままでの作業工程を無視してもいい
複数のボルトを使用して固定させる場合、それぞれのボルトを均等に締め付けなければならないのは当然のことです。
ですからそれぞれのボルトを対角線上に徐々に締め付けて固定させることを普段当たり前の用に行っています。
しかし、トルクレンチを持つとその当たり前の作業をせずに、トルク値が設定されているからといって、最初の1本目から規定トルク値で締めてしまったりすることが意外と多いようです。
2本目以降も同様に規定トルク値で締めた場合、行き着く先は“破損”しかありません。今までやってきた作業工程はトルクレンチを使用しても同じように必要なのです。
③ トルクレンチを使用すれば誰でも快適で安全な自転車が組み立てられる
トルクレンチを使用しなくてもネジの締め付けを行うとき、作業中に嫌ぁ~な感じがしたり、不自然に感じたりして作業を止め、不具合がないか対象物の状態や自身の作業を確認したものです。
これは経験から感じるわけです。これは非常に重要なことなのです。
トルク値は様々な要素により変わります。初めて締め付けるネジと何度も使用したネジ、ねじ山にゴミの付着したままのネジと洗浄したネジ、ネジ山にグリース塗布したネジと緩み防止剤を施したネジ、その他様々な要因が関係するのです。
ましてやすでに高すぎる締め付けトルクで変形しているもの、歪んだまま締め付けてネジ山が破損しているものなど自転車店には様々なものが持ち込まれます。
それぞれの状況を正確に判断し、的確に対処した上でメーカーの指定したトルク値を守らないと意味がないのです。
ですから、経験値がない未熟な作業者や数値が絶対であると信じ込んでしまい自身の感覚を放棄してしまった作業者がトルクレンチを使用することで熟練した作業者と同じ仕事ができるわけがないのです。

※シマノの取説にはグリース塗布について必要なところにのみ指示しており、それぞれの締め付けトルク値は新品の状態で初めて締め付ける状態の数値を明記してあります。

最近、カンパニョーロやシマノがネジ部にグリースを塗布することを禁止したりして、長年整備をしてきた人ほど迷いがある様子です。
実は私も違和感がしてたまりません。ただ正しいのかどうかもわからず、現在、昔の教科書などを引っ張り出して再勉強中です。またご説明できる答えが出ましたら、ご報告させていただきたいと思います。