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カートリッジベアリングタイプボトムブラケットの着脱

必要な工具

ここでは、カートリッジベアリングタイプボトムブラケットの着脱方法について解説しています。

ここでは、シマノ製のカートリッジベアリングタイプボトムブラケットを前提として解説しますが、現在市場にある多くのカートリッジベアリングタイプボトムブラケットは、そのほとんどがシマノ製カートリッジベアリングタイプボトムブラケットと同じ構造になっています。

注:シマノ Dura-Ace(BB-7700)、XTR(BB-M950)については、アジャスタブルタイプボトムブラケットとなります。
アジャスタブルボトムブラケットに関する詳細については、以下のページをご参照ください。

» アジャスタブルタイプ(カップ & コーン式)ボトムブラケットの調整

シマノ Hollow Tech Ⅱ、 カンパニョーロ Ultra Torqueといったエクスターナルベアリングクランクシステムに関する詳細については、以下のページをご参照ください。

» エクスターナルベアリングクランクシステム
(Hollow Tech Ⅱ、 MegaExo、 Giga X P、 X-Type、 ULTRA TORQUE)

シマノ製カートリッジベアリングタイプボトムブラケットには、2種類のタイプが存在します。一つは本体に固定されたカップが車体右側(ドライブ側)にあるもの、もう一つは車体左側(反ドライブ側)にあるものです。
いずれも、取り外しのできるアダプターリングがその反対側にあります。

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ベアリングの消耗具合を簡単にチェックする方法をご紹介します。
まず、チェーンの位置をリアスプロケットの最も小さいギアにかけ、フロント側はチェーンを内側に外し、チェーンリングが引っ掛からないように維持します。
クランクを勢いよく回転させ、一方の手でフレームを保持します。
保持した手が、フレームを通じてわずかに感じるゴリゴリ感やガタを感じることがでたら、ベアリングやカップ、コーンの表面に傷がついて消耗していることになります。
一般的には、スピンドル、カップ、コーン、ベアリングの順に消耗していく傾向にあります。

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カートリッジベアリングタイプボトムブラケットの取り外し

作業を始める前に、クランクアームをボトムブラケットから取り外します。
クランクアームの取り外しに関する詳細については、以下のページをご参照ください。

» クランクセット(ISISドライブ、Octalinkタイプ)の着脱

注:ここでは、車体左側に(反ドライブ側)にアダプターリングがあるものとして解説します。

最初に車体左側(反ドライブ側)のアダプターリングに工具をしっかりと嵌めこみます。
使用する工具にはいくつかありますが、アダプターリング内部に細かい溝があるタイプの場合、ParkTool BBT-22 (BBT-2)などを使用し、アダプターリングの外部に8つの爪をもつタイプの場合、ParkTool BBT-18 などを使用します。
車体左側(反ドライブ側)のアダプターリングは、JIS(ISO / BSC / English)規格の場合、反時計方向に回すと緩みます。

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多くのボトムブラケットに採用されている「スプラインシステム」は、工具を嵌める部分がとても浅く出来ています。
万一、作業に不安がある場合は、下図のようにリアハブ固定用のクイックリリースシャフトを使用して、工具をボトムブラケットに固定することができます。
この方法を利用して作業する場合、ボトムブラケットが緩んだら、すぐにクイックリリースシャフトを取り外してください。
そのまま作業すると、ボトムブラケットシェルのネジを破損する恐れがあります。

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ボトムブラケットシェルのネジ規格について

現在市場にある自転車のほとんどは、JIS(ISO / BSC / English)規格で製造されています。
JIS規格では、車体右側のネジは逆ネジ(反時計方向に締まる)となり、車体の左側のネジは正ネジ(時計方向に締まる)を採用しています。
一方、ヨーロッパで製造されている一部のロードバイクなどには、イタリアン規格が採用されているものもあり、イタリアン規格においては、左右のベアリングカップ共に正ネジ(時計方向に締まる)を採用しています。
それ以外にもフレンチ規格やスイス規格などが存在しましたが、現在ではほとんど見られなくなっています。

ボトムブラケットシェルのネジ規格に関する詳細は、以下のページをご参照ください。

» Basic Thread Concepts

右図は、一般的なJIS規格のベアリングカップです。
車体右側(ドライブ側)のネジは逆ネジ(反時計方向に締まる)となり、車体左側(反ドライブ側)のネジは正ネジ(時計方向に締まる)になっていることがお分かりになるでしょうか?

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右図は、JIS規格のベアリングカップにおける、それぞれの方向性について表しています。

車体左側(反ドライブ側)のネジは時計方向に締まり、反時計方向に緩みます。
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車体右側(ドライブ側)のネジは時計方向に緩み、反時計方向に締まります。
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固着したベアリングカップについて

しばしば、長期間メンテナンスをしていなかったボトムブラケットがフレーム内部で固着してしまうケースに遭遇します。
これらの対処としては、以下のような方法が考えられますが、最も重要なことは、最初にネジの方向を明確にすることです。
先ほど記述した通り、一般的なアダプターリング内部に細かい溝を持つタイプの「スプラインシステム」は、工具を嵌める部分がとても浅く出来ています。
アダプターリングに確実にボトムブラケットツール(BBT-22 など)を嵌めるために、クイックリリースシャフトや長いボルトなどで、しっかりと工具を固定してください。
これらのケースの場合、一般的な工具を使用してボトムブラケットを外すことが困難のため、しっかりと固定したボトムブラケットツールをベンチバイスで直接挟み、フレームを回転させて取り外します。
その際、ネジ部に浸透性の高い潤滑材を塗布することで、取り外しやすくなることがあります。

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カップ&ロックリングタイプ

カートリッジボトムブラケットシステムにはいくつかのバリエーションがあり、このタイプはカップとは別にロックリングを使用します。ベアリングは工業用の一般的なタイプで、カップを取り外してベアリングを交換します。カップは一般的なタイプに似ており、HCW-5:ロックリングスパナ SPA-1 / 2 :ピンスパナを使用します。このタイプはロックリングによってカップを固定します。

このタイプはベアリング調整の機能はありません。

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カートリッジベアリングタイプボトムブラケットの取り付け

適宜、ボトムブラケットシェルの修正を行います。
スチールフレームに対して、アルミニウム、もしくはスチールのアダプターリングをもつボトムブラケットを装着する場合、ネジロック剤を併用することが望ましいでしょう。
一般的には中強度のものが使いやすいと思いますが、ロックタイト#242などが挙げられます。
また、最近ではフレーム素材や作業スタイルによって、スレッドコンパウンド(ASC-1 )やグリス(PPL-1 / 2 )などが好まれる傾向にもあり、それぞれの作業に応じたものを使い分けていただいても構いません。
これらのネジに関する詳細については、以下のページをご参照ください。

» Basic Thread Concepts

最初にカートリッジボディの方向を確認します。
「L」と表記された側は車体の左側に、「R」と表記された側は車体の右側となります。
JIS規格のボトムブラケットの場合、右側(「R」)は逆ネジ(反時計方向に締まる)となっており、左側(「L」)は正ネジ(時計方向に締まる)になっています。
まず、車体右側からボトムブラケットを挿入し、ParkTool BBT-22 BBT-18 ボトムブラケットツール を使用して、反時計方向に締めつけます。
次に、反対側からアダプターリングを挿入し、時計方向に締めつけます。
それぞれのアダプターリングはトルクレンチなどで、確実に適正トルクで締め付け、固定してください。

スプラインタイプ(ISISドライブなど)のボトムブラケットに関する詳細については、以下のページをご参照ください。

» クランクセット(ISISドライブ、Octalinkタイプ)の着脱

スクエア軸のボトムブラケットに関する詳細については、以下のページをご参照ください。

» クランクセット(スクエアタイプ)の着脱