電気工事士試験について

電気工事士について

「電気工事士」は電気設備の工事や取り扱いの際に必要となる国家資格です。
中でも第二種電気工事士は毎年約15万人が受験する人気資格であり、就職などのキャリアアップだけでなくDIYの幅が広がることでも注目されています。

電気工事士の主な仕事

電気工事士は一般住宅からビル・鉄道と幅広い場所で活躍できます。
その中でも電気工事士の仕事は主に「建設電気工事」と「鉄道電気工事」の2分野に分けられます。

建設電気工事

建設電気工事は一般住宅はもちろん、工場やビル、病院などあらゆる建物の屋内・屋外の電気設備の施工を行います。
主な作業内容は下記のとおりです。

①外線配線工事

電柱から電線をビルや工場、各家庭等へつなぎ各建物内に電気が流れるようにする工事です。
場所によっては電柱からではなく地中で電線をつなぐ場合もあります。
他には変電設備などの配線や大型機器の制御回路のメンテナンスに従事することもあります。


②屋内配線工事

ビルや工場、一般住宅内などの施設内での配線工事です。
施設内でスイッチやコンセント、電気製品が使用できるように施工を行います。
コンセントや照明器具の取り付けといった施工やメンテナンス業務だけでなく、設計から担当するケースもあります。
工事期間は数カ月単位の現場もあれば、数日で終わる現場もあるため、複数の現場を同時に掛け持ちすることもあります。


③冷暖房設備工事

エアコン取替工事とは、例えば、家電量販店などで購入したエアコンと古いエアコンを交換する仕事です。
作業ではエアコン本体の付け外しや電源の配線などを行います。
また、定期的なクリーニング作業に携わることもあります。主に家電量販店から下請けで工事を行うのが一般的です。


④ビル管理

ビル管理は、基本的に保守点検の作業となります。
電気設備の保守はもちろん、水道や空調などの設備の管理にも携わります。
さらに自動ドアやエレベーター・ボイラーの設置など、作業範囲は多岐にわたります。
また、簡単な電気設備の修繕を行うことはあります。
修繕作業は電気工事士の資格がないと行えないため、資格取得者はビルメンテナンスの業界でも重宝されます。

鉄道電気工事

鉄道電気工事とは、電車の安全な運行のために電気設備の点検やメンテナンス、架線の張り替えなどを行う工事です。
鉄道施設での電気工事を行うためには、業者としてさまざまな条件をクリアしなければいけないため、参入できる業者は限られてきます。
主な作業内容は以下の通りです。

①変電設備工事

電車に供給する電気は電力会社から送られてきますが、途中の変電設備にて電圧を変える必要があります。
変電設備工事では変電所のメンテナンスや建築などに携わります。


②線路工事

変電所から供給される電気は電車線路(トロリ線)を通して電車に伝わります。
トロリ線は電車の線路の上に長く張られた、電線が伸びている線です。
線路工事では線路上の設備に関連した工事を行います。


③駅の電気設備の点検・工事

駅にあるさまざまな電気設備の点検や設置などを担う工事です。
照明やモニター・改札口・空調などを扱います。

電気工事士の資格はDIYでも活躍

また、電気工事士の資格は仕事だけでなく趣味やDIYの幅が広がることでも注目されています。
最近リノベーションやリフォームを自分で行うDIYが流行っていますが、その中でもコンセントや照明器具の交換・移設、防犯カメラの設置、インターホンの取り替えなどを行うにも電気工事士の資格が必要です。

この動画のように家のコンセントやスイッチを新しい物に交換する際には「第二種電気工事士」の資格が必要です。簡単な作業だからと無資格で行うと法律違反となり、懲役・罰金刑が下される恐れがあります。
そのため、最近ではDIYの幅を広げるために受験する人も増えています。

電気工事士の種類

電気工事士の資格は第二種電気工事士・第一種電気工事士の2種類あります。
どちらも電気工事に従事するための資格ですが、第二種と第一種で従事できる工事の範囲が異なります。

第二種電気工事士

第二種電気工事士ができることは、一般住宅や小規模施設の電気工事です。
具体的には、600V以下で受電する一般用電気工作物の取り扱いが可能です。
第二種の取得だけで住宅内の電気工事が一通りできるようになるため、DIYを目的とした方も多く受験します。
また、第二種は資格の有効期限がないため一度取得してしまえば更新など一切不要です。

第一種電気工事士

第一種電気工事士ができることは第二種の範囲に加えて、ビルや工場など大規模施設の電気工事や高圧の送配電線路などの電気工事に従事することができます。
具体的には、600V以上かつ最大電力500kW未満で受電する自家用電気工作物の取り扱いが可能です。
そのため、電気工事士としてキャリアアップをめざす方が主に受験します。
第一種になると高圧電気にまつわる専門的な知識が必要なため試験の難易度が上がります。
また、免状を発行するには試験に合格するだけでなく3年以上の電気工事に従事した実務経験が必要となります。
さらに第二種とは異なり、第一種は5年おきに講習の受講と更新の手続きが必要です。

資格を取得するには

電気工事士になるには一般財団法人 電気技術者試験センター が実施する「第二種電気工事士試験」もしくは「第一種電気工事士試験」に合格する必要があります。
電気工事士試験はどちらも学科試験と技能試験の2つで構成されています。
学科試験と技能試験の両方に合格すると電気工事士の免許が発行されます。

受験資格

電気工事士は年齢・学歴・職歴などの受験資格がないため、誰でも受験できます。
もちろん、電気工事にまつわる学校の卒業実績や実務経験も必要ありません。
毎年、10代から60代まで幅広い年齢層の人が受験しています。
ただ、第一種に関しては受験資格はありませんが合格後の免状発行には3年以上の実務経験が必要なので注意が必要です。

合格率

 
    学科
受験者
学科
合格者
学科
合格率
技能
受験者
技能
合格者
技能
合格率
試験
合格率
2021年 二種
上期
86,418 52,176 60.4% 64,443 47,841 74.3% 50.2%
二種
下期
70,135 40,464 57.7% 51,833 36,843 71.1% 46.5%
一種 40,244 21,542 53.5% 25,751 17,260 67.0% 37.4%
2020年 二種
上期
中止
二種
下期
104,883 65,114 62.1% 66,113 48,202 72.9% 39.5%
一種 30,520 15,876 52.0% 21,162 13,558 64.1% 38.4%
2019年 二種
上期
75,066 53,026 70.6% 58,699 39,581 67.4% 42.2%
二種
下期
47,200 27,599 58.5% 41,680 25,935 62.2% 35.9%
一種 37,610 20,350 54.1% 23,816 15,410 64.7% 35.0%
2018年 二種
上期
74,091 42,824 57.8% 55,612 38,586 69.4% 39.1%
二種
下期
49,188 25,497 51.8% 39,786 25,791 64.8% 33.6%
一種 36,048 14,598 40.5% 19,815 12,434 62.8% 25.5%

試験日程

第二種電気工事士試験は年2回の受験チャンスがあります。
試験日程の詳細は電気技術者試験センターで確認しましょう。
 

     
  申込期間 学科試験 学科試験
合格発表
技能試験 技能試験
合格発表
CBT方式 筆記方式
二種上期 3月中旬~4月初旬 4月末~5月初旬 5月末 6月中旬 7月末 8月中旬
二種下期 8月中旬~9月初旬 9月末~10月初旬
10月末 11月末 12月中旬 1月中旬
一種上期 2月初旬~2月末 4月初旬~5月初旬 - -* 7月初旬 8月頃
一種下期 7月末~8月中旬 9月初旬~9月中旬 10月初旬 10月末 11月末 1月頃

*CBT方式は受験日の2週間後にマイページで合否の結果が確認できます。

申込方法

申込方法は2種類あります。
電気技術者試験センターから申し込みは原則インターネット申し込みとアナウンスが出ています。  

①インターネットによる申込

試験センターのWebサイトにてマイページの作成及びに受験申込を行います。
マイページにて証明写真となる顔写真のデータを登録することができます。
 

②郵送による申込

郵送にて受験案内を試験センターから入手します。
受験案内に同封されている受験申込書に必要事項と証明写真を添付し、試験センターへ郵送します。

※学科試験はCBT方式と筆記方式のどちらかを選択して受験することが可能です。
  CBT方式を希望する際は受験申し込み後にCBT会場申し込み手続きが必要です。
  郵送申し込みの際もCBT会場申し込みはインターネットでの申請が必要です。
  詳細は電気技術者試験センターの案内をご参照ください。

受験費用

受験手数料・支払方法はインターネット申込と郵送申込で異なりますのでご注意ください。

  インターネット申込 郵送申込
二種 9,300円 9,600円
一種 10,900円 11,300円
支払方法 銀行振込
クレジットカード決済
コンビニエンスストア決済
Pay-easy決済
ゆうちょ銀行振込のみ

学科試験について

まず初めに学科試験に合格する必要があります。
電気の知識がない人でも合格できるおすすめの対策方法もご紹介します。

試験形式

学科試験はCBT方式と筆記方式のどちらかを選択して受験します。
CBT方式は約3週間の受験期間が設定されており、自分で日時と会場を選択して受験することができます。
筆記方式は一部の会場を除き、午前・午後の2回に分けて実施されます。午前・午後の選択をすることはできません。
問題数や試験時間などはCBT方式、筆記方式どちらも同じ出題形式です。


  • 問題数:50問
  • 回答方法:4択のマークシート形式
  • 試験時間:120分
  • 点数は1問2点で計算します。例年合格のボーダーラインは60点以上とされています。
    従って30問正解すれば合格することができます。

    持ち物

    学科試験で使用できる持ち物は下記の通りです。

    ①筆記用具
     色鉛筆・色ボールペン・蛍光ペン・マジックの持ち込みも可能です。
     ※マークシートの記入には鉛筆・シャープペンシルを使用しましょう。
    ②その他
     時計、ストップウォッチ、メガネ・ルーペの持ち込みも可能です。
     ※電卓機能や通信機能、アラーム音のなるものは使用できません。
     電卓や計算尺、メモ用紙の持ち込みはできませんので、計算式などは問題用紙の余白を使用しましょう。

    技能試験について

    試験形式

    技能試験では持参した工具と当日支給される材料を使って、出題される電気回路を施工します。
    試験時間は60分です。
    施工した電気回路に「欠陥」と呼ばれる施工ミスが一つでもあれば不合格となってしまいます。

    試験内容

    出題内容は電気技術者試験センターから事前に公開される「公表問題」から出題されます。
    毎年4月頃に公表問題が発表されますので、電気技術者試験センターのWebサイトにてご確認ください。
    ※外部サイトリンクします。

    全10問ある公表問題から各試験会場ごとにランダムで1問出題されます。
    施行において使用する電線・器具間の長さ・接続方法などは公表問題ではわからず、試験当日に配布される問題用紙にて明らかになります。
     

    持ち物

    ①筆記用具
     色鉛筆、色ボールペン、蛍光ペン、マジックの持ち込みも可能です。
    ②その他
     時計、ストップウォッチ、メガネ・ルーペの持ち込みも可能です。
     ※電卓機能や通信機能、アラーム音のなるものは使用できません。
     電卓や計算尺、メモ用紙の持ち込みはできませんので、複線図などは問題用紙の余白を使用しましょう。
    ③作業工具
     電動工具以外の全ての工具を使用することができます。
     試験センターが下記の工具は最低限必要と挙げていますので、必ず持参しましょう。
     ペンチ、ドライバ(プラス・マイナス)、ナイフ、スケール、ウォーターポンププライヤー
     リングスリーブ用圧着工具(JIS C 9711:1982・1990・1997適合品)
     他にも手袋・マスキングテープなども持ち込み可能です。
     

    技能試験対策におすすめの工具セット・練習用部材セット

    試験本番には材料を持参する必要はありませんが、合格するためには事前練習が必要不可欠です。
    そのため、工具セットと一緒に練習用部材セットをそろえることをおすすめします。

    おすすめの勉強方法

    講習会もおすすめではありますが、できるだけ費用を押さえたい方にはYoutubeで無料解説動画を見ながらの対策がおすすめです。


    講習会のご紹介

    弊社主催の講習会はございませんが、弊社の工具を使用した他社様主催の講習会をご紹介しています。
    詳細については以下リンクからご覧下さい。

    日本エネルギー管理センター

    • 項目:第一種電気工事士コース
    • 会場:東京/大阪/名古屋

    電気資格対策センター

    • 項目:電気工事士試験対策講習会
    • 会場:東京/大阪

    ※外部サイトへリンクします。